《対談》井手茂太×砂連尾理〔前編〕

June 29, 2015

「花道ジャンクション」のクリエーション真っ只中の6月18日に、以前イタリアツアーでご一緒されたという振付家・ダンサーの砂連尾理さんにご訪問いただき、井手茂太さんとの対談を行いました。振付家同士、話は尽きず、[前編]と[後編]に分けてお送りします。

 

井手茂太×砂連尾理 対談  (対談日:6月18日)

 

 

井手くん、新長田にはいつ来たんだっけ? 

 

砂連尾:新長田にはいつ来たんだっけ?

 

井手:もう10日経つかな。

 

砂連尾:じゃあ、もう結構やっているんだ。

 

井手:リハーサルは週に5回。

 

砂連尾:いま、イデビアン・クルー(以降、「イデビアン」と表記。)*1でやっていることとは違う形で、今回は東京でもなく地域に来てやってるじゃない。新長田に来て、尚且つこのダンスボックスが3年かけて行ってきた「国内ダンス留学@神戸」(以降、「ダンス留学」と表記。また当事業の参加者を「留学生」と表記。)*2というプログラムに参加してきた人たちと作品をつくるというのを、僕は凄く楽しみにしているんだけど。

 

井手:すごいプレッシャーなんだけど。見に来てくれるの?

 

砂連尾:もちろん。こうやって井手くんがダンス留学のダンサーだけじゃなくて、地域の人たちも参加する形での作品作りはどういう経緯で?これはダンスボックスからのオファーだったの?

 

井手:うん。だけど、それこそ北九州とか一般の人と舞台をつくるのは何度かやってはいたからその話だと思いました。ダンサーと一般の人の混合は、全く未知の世界で。それを言われた時には、分けたほうがいいって思ってたんだけどね。

 

砂連尾:今回そんなことにトライしようと思えたことは?

 

井手:なんだろう。越後妻有「大地の芸術祭」のプロジェクト*3もそうだし、ワークショップでもそうなんだけど、やっぱりさ、ずっと創作しているとどこかで麻痺しちゃうんだよね。踊りの表現を追求しはじめて、ストイックに作った作品を発表した時に、観客がついてこなくなってくることもあるよね。

 

砂連尾:マニアック過ぎちゃうわけね。

 

井手:一般の人が“こんな面白い世界あったんだ”っていう取っ掛かりがあって、劇場に足を運ぶ人が多くなると思う。そういう習慣になればな、と思ってる。

 

*1 イデビアン・クルー:1991年、井手茂太を中心としてダンスカンパニー「イデビアン・クルー」を結成。1995年に『イデビアン』で旗揚げ公演を行う。既存のダンススタイルにとらわれない自由な発想で、日常の身振りや踊り手の個性を活かしたオリジナリティ溢れる作品を発表し、国内をはじめ、ドイツ、フランス、イギリスなどの23都市、のべ34箇所で作品を上演。

 

*2 「国内ダンス留学@神戸」:毎年、7月末から翌年3月までの約8ヶ月間、活動と生活の拠点を新長田にして、プロの振付家・ダンサー・制作者として活動していくことを志す人を対象に、実践や座学を通して多角的に<学び>、その後<作品づくり>に取り組み、<上演する>までの一連のプログラムを、“劇場”を拠点に実施します。2012年度より始動、すでに三期生までが輩出されました。

 

*3越後妻有「大地の芸術祭」のプロジェクト:「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015」は、過疎高齢化の進む日本有数の豪雪地・越後妻有(新潟県十日町市、津南町)を舞台に、2000年から3年に1度開催されている世界最大級の国際芸術祭です。井手茂太さんの参加作品は「越後妻有で100人に振付しちゃいました」。越後妻有を巡り、出会った人たち100人にその場で振付を実施し、里山の風景や集落の光景と住人の動きを映像に記録して編集します。芸術祭会期中は、十日町商店街などで本編が上映されます。

 

 

コンテンポラリーダンスの今の状況とか、あるいはその中での自分の位置とかどのように考えているの?

 

砂連尾:今日のコンテンポラリーダンスが、ある意味閉塞しているというか、観客も減少している状況に陥っているよね。

 

井手:ちょっと前衛的で、どこかで閉ざされているところがあるよね。

 

砂連尾:ある種コンセプチュアル的な、とかも。そういう戦略をとっている人もいると思うし、井手くんが実践してるダンスって、テレビで流れるエンターテイメントじゃないけど、ものすごくダンスを身近に感じさせてくれるというか。そういった楽しめるダンスは、一方で今、とても求められていると思うんだよね。コンテンポラリーダンスの今の状況とか、あるいはその中での自分の位置とかどのように考えているの?

 

井手:基本はやっぱり踊りって楽しいものだと思うし、とかいって感動するものとかコンテンポラリーとか感覚的なものを見るのは好きだけど、自分が創作することになったら、そういうことは他で見ればいいかな、って。ダンスの入り口じゃないんだけど、“コンテンポラリーなのかな?”、“これもコンテンポラリーなんだろうな?”という取っ掛かりみたいな印象を受けてもらえるだけでもありがたいかな、と思います。もちろん、テレビとかのようなエンターテイメントまではいかない、むしろそれを皮肉ってカラオケ大会やらせたり、例えばだよ、ものすごい着物姿でカラオケを熱唱している後ろでものすごいコンテンポラリーやっている人とかがいたり。もう少し身近なものを実践したい、というのは昔からあるかもしれません。

 

 

ダンスを始めたきっかけは?

 

 

砂連尾:ダンスを始めたきっかけは?

 

井手:もともと僕は九州の出で、兎に角ね、うまくしゃべれなかったんだよ。こう見えても。その頃、エッと、そうです、とか無口。なんかね、人としゃべりたくなかった。普通にしゃべっているけど、緊張しいなのか、人見知りなのか、それが激しかった。ただ、うちの姉が踊りをやっていて、それを見るのは、はすごい楽しかったんだよね。そしてマネね。踊ることに対して、自分は真面目にやっているんだけど、みんなすごい受けているんだよ。見ている人の笑顔って気持ちいいじゃん。別にどっかんって受けさせたいわけじゃないんだけど、なんかそういうところから踊りに興味を持ったのかな、って今は思う。

 

砂連尾:それは高校とか?

 

井手:高校とか中学とかその辺だろうね。でね、肥満児でした。未だに変わらないが。

 

砂連尾:イタリアのフェスティバルで一緒になって、確か部屋で話した時に「俺は動けるデブだった人」みたいなことを言っていたのは覚えてるんだよね。

 

井手:「踊り=ダンサー=細い人」だけじゃないってのを証明したかったというのはちょっとあったかもしれないけど。でも、そもそもね、昔から自分が踊り手よりも創作する方が気持ち早かった。小学校の時から「お姉ちゃん、こうして、こうして、こうした方がカッコイイよ」とか。美容院だからさ、お店終わっちゃうとさ、鏡張りでさ、子供ながら、ディスコ調になるのよ。真ん中の姉がバレエやってて、一番上の姉が日本舞踊をやってた。僕は3人兄弟の男の子で、俺は踊らせてもらえなかった。「踊りというのは男がするもんじゃなか」みたいな発想。そういう世界だった。なんか自分は踊っちゃいけないんだっていうのもどっかあったかもね。「姉ちゃん、それもう一回」とかやってましたね。

 

砂連尾:東京に出て行くきっかけはなんだったの?

 

井手:ある時、実家に帰った時に美容室だから女性誌が多いわけ、それに、ダンスの専門学校の広告があって。あれ、やってみようかな、と思って。京都校、金沢校、東京校とかがあって。僕は、東京が苦手で、それで京都校に行こうと思っていたのだけど、一番上の姉がその当時東京にいて、そんなことやるんだったら私今東京いるから、東京おいでって言われて、それで東京。

 

砂連尾:専門学校ですでに、グループとか、群舞構成とかやっていたの?

 

井手:2年制の専門学校時代はさ、男の子が少なかったんだよね。3クラスあって、女性は60人から70人ぐらいいるうちに、男性5人だったんだけど、2年なった時に4人辞めちゃって、俺ともう一人で2人になっちゃって。その時に、卒業生の作品を作んなくちゃいけなくて、女性の世界なんだよ。だから先生考えたんだろうね。井手くんが仕切って、って俺が班長になってしまった。それで仕切ることになって。女性の聞き役になっていたら、本当だったらイラってくるんだけど、面白かったんだよね。それでね、群衆って面白いってなってきたんだよね。そんな風に仕切ることが好きになった、というか全体を見るのが好きになった。

 

(後編へ続く)

 

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